時代を超えてよみがえる巨匠たちのレコード演奏会
(第98回プログラム)


主 催 SP・LPクラシックレコード音楽研究会 代表丹野井松吉
日 時 令和2年6月20日(土)
午後1時から午後7時ごろまで
会 場 音pub Westminster house(電話 090-3345-2124)
東京都台東区蔵前三丁目17番4号 蔵前妙見屋ビル4階
地下鉄大江戸線蔵前駅下車2分、寿三丁目交差点1階花屋
会 費 1,000円


曲目と演奏

〜モーツアルト〜(1756-1791)

〜ブルーノ・ワルター〜
(1876-1962)
〜エーリッヒ・クライバー〜
(1890-1956)
〜アルテュール・グリュミオー〜
(1921-1986)
〜クララ・ハスキル〜
(1895-1960)
〜ディヌ・リパッティ〜
(1917-1950)
〜へルベルト・フォン・カラヤン〜
(1908-1989)
〜オーレル・ニコレ〜
(1926-2016)
〜カール・リヒター〜
(1926-1981)

  1. 交響曲第35番ニ長調K385「ハフナー」
    ワルター、ニューヨーク(1953)
  2. 交響曲第40番ト短調K550
    ワルター、ニューヨーク(1953)
  3. 歌劇「フィガロの結婚」K492(抜粋)
    クライバー、シェピ、ギュ-デン、ぺル、
    デラ・カーザ、ダンコ、ウイーン(1955)
  4. ヴァイオリンソナタ28番ホ短調K304
    グリュミオー、ハスキル(1958)
  5. ヴァイオリンソナタ34番変ロ長調K378
    グリュミオー、ハスキル(1958)
  6. ピアノソナタ第8番イ短調K310
    リパッティ(1947)
  7. ピアノ協奏曲第21番ハ長調K467
    リパッティ、カラヤン、フィルハーモニア(1950)
  8. フルートとハープのための協奏曲ハ長調K299
    ニコレ、シュタイン、リヒター、
    ミュンヘン(1962)
  9. フルート協奏曲第2番ニ長調K314
    ニコレ、リヒター、ミュンヘン(1961)
  10. 交響曲第39番変ホ長調K543
    ワルター、ニューヨーク(1953)
  11. 交響曲第41番ハ長調K551
    ワルター、ニューヨーク(1956)


 ワルターは、著書「音楽と演奏」(渡辺健訳、白水社)の中で、「私にはいつも、音楽から何か彼岸のものが聞こえ、それが深く私の心を動かし、雄弁な説得力を持って一つの超越的な内容を指し示す」と述べる。
 「モーツアルトは、素質と傾向から言って、演劇的な音楽家である。演劇的創作と言うものは、極めつくしがたい人間の心、人間同士の多種多様な関係、文化状態の特質などに対する、深く鋭い理解すなわち、豊かな人生経験と人間知識、あふれる精神的関心、多面にわたる教養といったものなしには考えられない」
 「演劇的作品や声楽作品にしても、絶対音楽にしても、また後者のうちの、不協和な感情に最強の表現を与えているものにしても、彼の創作するものは全て、そうした非地上的な領域からの、彼岸的な協和音の倍音を保持していた。モーツアルトの魂をつかさどるこのインスピレーションを感じてみれば、彼の音楽家性と音楽に翼を与えたのは、天使のような衝動なのだ、とも十分言いうるのである。」「私は、モーツアルトの作品に取り組むことによってあたえられる高い幸福は、彼の音楽の世界が、鳴りひびく音としてつげ知らせている、あの調和のせいなのだ、と解している。」(魔笛のモーツアルト)とも述べている。

 今回は、ワルター晩年のニューヨークフィルのモーツアルトの交響曲4曲を聴く。ワルター独特の緩急自在なダイナミズムにあふれるリリシズム、モーツアルトの至福の調和がそこにある。
 クライバーの「フィガロの結婚」は、上品で官能的な熱気があふれんばかりの芳醇な調和の世界である。歌唱陣シェピ、ギュ-デン、ぺル、デラ・カーザらが何とも素晴らしい。シェピは、53,54年のザルツブルグでは、フルトヴェングラーの指揮で、ドン・ジョバンニを歌っているが、ここでは性格も反対のフィガロ役が面白い。
 グリュミオー、ハスキルのヴァイオリンソナタは一期一会の絶妙のアンサンブルであり、リパッティのモーツアルトとともに、青春のみずみずしさと甘いロマンが馥郁と鳴りひびく。この時代のカラヤンはまだ内面的な魅力がある。
 ニコレ、リヒターの協奏曲は、曲の華やかな外面のたたずまいのむこうに、モーツアルトの魂の内面の陰りが調和をもって歌われている。ニコレ、リヒターのバッハ、フルートソナタを思い起こさせるのである。

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