時代を超えてよみがえる巨匠たちのレコード演奏会
(第83回プログラム)


主 催 SP・LPクラシックレコード音楽研究会 代表丹野井松吉
日 時 令和元年12月21日(土)
午後1時から午後7時ごろまで
会 場 音pub Westminster house(電話 090-3345-2124)
東京都台東区蔵前三丁目17番4号 蔵前妙見屋ビル4階
地下鉄大江戸線蔵前駅下車2分、寿三丁目交差点1階花屋
会 費 1,000円


曲目と演奏

〜フルトヴェングラー〜
(1886-1954)
〜シュワルツコップ〜
(1915-2006)

  1. フルトヴェングラー
    交響曲第2番ホ短調
    ヘッセン放送(1952,12,15)
  2. フーゴー・ヴォルフ(1860-1903)
    歌曲集
    シュワルツコップ、フルトヴェングラー
    (1953,8,12ザルツブルグ)
  3. ブルックナー(1824-1896)
    1. (1)交響曲第7番ホ長調
         ベルリンフィル(1951,4,23)
    2. (2)交響曲第8番ハ短調
          ウイーンフィル(1944,10,17)
    3. (3)交響曲第9番二短調
         ベルリンフィル(1944,10,7)



丹野井松吉のコメント
 フルトヴェングラーは、交響曲第2番を戦時中戦後にかけて作曲し、1948年に発表した。そのため、この作品には、ドイツナチス政権のもと音楽芸術の頂点に位置し、ヒットラーと対立しつつも祖国ドイツを去らなかった彼の内的苦悩、戦後の戦犯裁判の苦難の影響が色濃く反映している。音楽は、あのカフカの小説「審判」の出だし、主人公Kが謎の裁判所に罪状も告げられずに起訴されたことを知らされるもの悲しい不条理への哀切なメロディーで始まる。戦時下の矛盾した心の葛藤と自由への希求・失望といった重苦しい状況を経て、曲は闘争から歓喜につき進む。カフカの「審判」では、主人公はある日、謎の裁判所の執行人によって刑を執行され犬のように殺されて終わるが、フルトヴェングラーの交響曲第2番は、ベートーヴェン的闘争を経て、勝利の歓喜で終わる。曲の手法は、ブラームス的ブルックナー的で地味な後期ロマン派の様式であるが、内容は現代人の心に深く訴え癒しともなる。録音はほかに自演で4種類ほどある。20世紀を代表する交響曲といえるだろう。
 シュワルツコップはフルトヴェングラーの指揮で、ザルツブルグでモーツアルト「フィガロ」の伯爵夫人や「ドン・ジョバン二」のドンナ・エルビラなどをうたっているが、ここでは、フルトヴェングラーのピアノ伴奏でヴォルフの歌曲を歌う。シュワルツコップの声は、まさに全盛期の極限的熱唱であるが、フルトヴェングラーのピアノは、録音のせいかロールピアノのような音を出しながら、詩人ハイネのように傷ついたヴォルフの心をとらえ不思議な感覚的官能的な音をくりのべている。まさに奇跡の共演である。
 ブルックナーの8番と9番は、ドイツの敗戦が迫った1944年10月、2曲は僅か10日の間隔で演奏されており、この時期のフルトヴェングラーの苦悩と自由への憧れと渇望を強く感じさせる。7番もそうだが、フルトヴェングラーのブルックナーは、他の指揮者からは、絶対に聞きえない彼自身が作曲したともいえそうな音楽なのである。

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