時代を超えてよみがえる巨匠たちのレコード演奏会
(第82回プログラム)


主 催 SP・LPクラシックレコード音楽研究会 代表丹野井松吉
日 時 令和元年12月14日(土)
午後1時から午後7時ごろまで
会 場 音pub Westminster house(電話 090-3345-2124)
東京都台東区蔵前三丁目17番4号 蔵前妙見屋ビル4階
地下鉄大江戸線蔵前駅下車2分、寿三丁目交差点1階花屋
会 費 1,000円


曲目と演奏

〜モーツアルト〜
(1756-1791)
〜トスカニーニ〜
(1867-1957)

  1. 歌劇「フィガロの結婚」序曲
    NBC(1943,12,5)
  2. 交響曲第35番ニ長調K385「ハフナー」
    NBC(1943,12,5)
  3. 交響曲第39番変ホ長調K543
    NBC(1948,3,6)
  4. バスーン協奏曲変ロ長調K191
    シャロウ,NBC(1947,11,18)
  5. 歌劇「魔笛」抜粋
    ロウスレンゲ、ノボトナ、ファスベンダー、
    オスバース、キプニス
    ザルツブルグ祝祭、ウイーンフィル
    (1937、8,14)
  6. 歌劇「ドン・ジョバンニ」序曲
    NBC(1946,1、27)
  7. 交響曲第38番ニ長調K504「プラハ」
    NBC(1939,2,4)
  8. 交響曲第40番ト短調K550
    NBC(1950,3,12)
  9. ピアノ協奏曲第27番変ロ長調K595
    ホルショフスキー、NBC(1943,12,5)
  10. 交響曲第41番ハ長調K561「ジュピター」
    NBC(1945,6,22)



丹野井松吉のコメント
 今回は、トスカニーニが残したモーツアルトの放送録音を聞く。
 第2次世界大戦の戦前、戦中、戦後の14年間、トスカニーニ70歳から84歳までの演奏で、1937年8月のザルツブルグ音楽祭の「魔笛」のほかは、アメリカRCA(ラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ)との契約で、トスカニーニ専属のNBC交響楽団を毎週生演奏し、これが全米に放送された実況録音である。演奏会場は、ニューヨークRCA本社ビルのスタジオ8Hホール(1400人収容)か、カーネギーホールであったが、8Hホールは残響のすくないデッドな音響であった。
 戦前、戦中、戦後の時代環境の変化に伴い、トスカニーニの演奏も大きく変化してきている。アメリカに移住してNBCとの演奏を開始する前、1930年代前半のヨーロッパ時代のニューヨークフィルや英国BBCの演奏は、端正で生命力ある力強さにもゆとりと麗しさがある。1937年8月のザルツブルグ音楽祭では、ウイーンフィルによって「魔笛」とヴェルディの「ファルスタッフ」を指揮し、後者も録音が残っているが、これらはやはりヨーロッパ時代を感じさせる演奏である。しかし、アメリカも戦争が近づき戦時中になると、トスカニーニの演奏は、NBCのデッドな音響と相まって、虚飾を廃し単刀直入に本質に迫るようなかたくなささえ感じさせる領域に達してきている。トスカニーニの反ナチと正義感、戦争に突入した当時のアメリカ社会の状況が 色濃く反映している。戦後は、再び落ち着きとゆとりを取り戻すが、指揮者の高齢もあってもはや戦前のスタイルではない。
 トスカニーニのモーツアルトは、力強く明快であり、時には火焔のごとく激情的である。しかし、和声やカンタービレは、純音楽的でこの上なく美しい。さながら、菫色のエーゲ海の島にある古代ギリシャの神殿と神話を彷彿とさせるのである。ザルツブルグ音楽祭の「魔笛」は、トスカニーニとウイーンフィルの共演であり、力強くデモーニッシュ、歌手たちも最高の熱唱をしていて歴史に残る超名演である。

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