時代を超えてよみがえる巨匠たちのレコード演奏会
(第71回プログラム)


主 催 SP・LPクラシックレコード音楽研究会 代表丹野井松吉
今回企画会員 番郷 本
日 時 令和元年9月14日(土)
午後1時から午後7時ごろまで
会 場 音pub Westminster house(電話 090-3345-2124)
東京都台東区蔵前三丁目17番4号 蔵前妙見屋ビル4階
地下鉄大江戸線蔵前駅下車2分、寿三丁目交差点1階花屋
会 費 1,000円


曲目と演奏

〜ワーグナー〜
(1813-1883)
〜ハンス・クナッパ―ツブッシュ〜
(1888-1965)

  1. 「パルシファル」
    (バイロイトライブ・1951年7・8月録音)
    パルジファル:ヴィントガッセン
    グルネマンツ:ルートヴィッヒ・ヴェーバー
    クンドリー:メードル
    アンフォルタス:ロンドン
    ティトゥレル:ファン・ミル
    クリングゾール:ヘルマン・ウーデほか
  2. 「神々の黄昏」
    (バイロイトライブ・1951年8月4日土曜日録音)
    ブリュンヒルデ ヴァルナイ ジークフリート ベルント・アルデンホフ/ハーゲン…ルートヴィヒ・ウェーバー(バス)/グートルーネ メードル(ソプラノ)/ヴォークリンデエリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)ほか
    バイロイト祝祭劇場管弦楽団・合唱団、(合唱指揮:ヴィルヘルム・ピッツ)
  3. 「マイスタージンガー」
    (1950年9月2-9日、1951年9月11日―20日ウィーンフイル、ウイーン国立歌劇場合唱団・スタジオ録音)
    ハンス・ザックス:シェフラー
    ヴァルター:トレプトウ
    エヴァ:ギューデン
    マグダレーネ:エルゼ・シュルホフ
    ダーヴィト:デルモータ
    ベックメッサー:カール・デンヒ
    ポーグナー:エーデルマンほか

番郷 本のコメント

[指揮者紹介]
 クナッパーツブッシュは、ワーグナー絶頂期の彼の忠実な弟子にして右腕・第1回バイロイト音楽祭、ニーベルングの指輪」全曲世界初演指揮者ハンス・リヒターに学び、20世紀初めのバイロイト音楽祭の雰囲気に親しんだ。
 その後ミュンヘン歌劇場の音楽監督など要職を務める。クナッパーツブッシュのバイロイト初登場は意外に遅く、戦後の1951年。
 高潔でありながら、音楽上の権勢欲、そして情欲を抑えきれぬ葛藤に生きた「指揮界のウォータン」フルトヴェングラーに対し、愛する音楽のために音楽への献身を続けた名職人、指揮台上のみで王者としてふるまった「指揮界のハンス・ザックス」クナッパーツブッシュ。その芸風は素朴ながら極めて緻密・雄大である。

[パルシファルについて]
ワーグナーの遺作。
 人間の精神と言う井戸の底に並々と溢れる、直視するさえ難しい嘔吐感さえ催す黒々とし苦悩の実態を、本人と共に、本人の目と心そのものになって、味わい苦しみ尽くし対決すること。これが「共苦」であり、共苦を通じての救済がこの楽劇のテーマであると言われる。
ここで彼は、救済のためには愛さえも捨てよというテーマを再び強く打ち出した。

 さて出所さえ不確かな以前の噂だが、かつて、ミラノ・スカラ座が映画監督・黒澤明に「パルシファル」の演出を依頼しようとする動きがあったと聞く。ならば、日本風の、武者と若者・狂女が彩る「パルシファル」はぜひ実現してほしかった。
この噂を契機に作成した「パルシファル」演出プランを今回手直しして、以下呈示する。これは、私の現時点でのパルシファル観とも読める。

[1幕]
 舞台は日本、原子力発電所。グルネマンツは、初老の社員。先ごろ起こった大地震による原発事故によく対処するも深い心的外傷を負った所長アンフォルタスの心身を、案じている。
 パルシファルは見学者の少年として登場。グルネマンツが話すこれまでの様々な経緯を、彼は理解できない。同じく心的外傷に苦しむクンドリーも登場。彼女は職責でアンフォルタスを篭絡するも、そのため大地震・原発事故で最愛の人を亡くしたのを自らの所為とし、死に勝る苦悩を抱いている。
 防護服に着替え、場面転換。聖杯堂は所内会議室。聖堂の騎士は幹部社員と地元有力者。アンフォルタス登場。アンフォルタスの傷口は、数基の原発の大きなひびとして示される。彼は原発爆発を止められなく大きな犠牲を出したにも拘わらず、作られた英雄として称えられ、また所内では蔑まれている。かつてクンドリーに弱点を握られ、そのため自ら察知していた原発の脆弱性を放置する案に賛成させられた。自分のせいで事故が起きたと果てしない苦悩を負う。さらに、大震災で傷つき、再稼働するやいつ爆発するか解らぬほかの数基の原発の再稼働を強いられても抗えない。
 苦悩し再稼働決定を渋るアンフォルタスに、社長ティートレルは業務を下し、一基のまだ傷が少ない原発が再稼働する。聖杯は、原発のミニチュアとして表現される。
儀式は終了し、パルシファルは追放される。

[2幕]
 舞台は東京、六本木と渋谷。六本木ヒルズがクリングゾール城のモデル。クリングゾールは過激な言動で発電所を負われ逆恨み。所員を金と性で自らの会社に転職させる。表向きはバイオ会社の真の目的は、原発テロ。元所員がそれと知らずに破滅へのプログラムを作成するの見るのは彼の喜び。下界の六本木クラブ街・渋谷の風俗街円山町が花の乙女の園。この幕でのクンドリーは東電ОL事件の主人公をモデルとする。クリングゾールが投げた槍をパルシファルが投げ返すと、送電盤が破壊され、東京は真の暗闇に。
 電気=文明。槍はここまでは送電線を支える鉄塔(電気文明の象徴)として表現されるも、パルシファルの手に取られた瞬間、枝葉を付けた木の槍(自然の象徴)と変わる。

[3幕]
 発電所=聖杯城の状況は悪化。さらにに危険な原発の再開をアンフォルタスは拒み、舞台は緊迫。パルシファルが登場し、原発は槍から溢れる樹液で傷は槍で癒される。クンドリーの苦悩も圧倒的な緑に包まれ、癒されてゆく。あらゆる汚染を飲み込む植物が一気に繁茂。原発も、機械文明も、すべてが緑になり暗転、終了。

 長くなったので、「神々の黄昏」「マイスタージンガー」については、当日、時間の余裕に応じ述べる。ここの素晴らしいサウンドで、バイロイトの音楽空間がどう再現されるか、大変楽しみだ。

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