時代を超えてよみがえる巨匠たちのレコード演奏会
(第57回プログラム)


主 催 SP・LPクラシックレコード音楽研究会 代表丹野井松吉
日 時 2019年4月20日(土)
午後1時から午後7時ごろまで
会 場 音pub Westminster house(電話 090-3345-2124)
東京都台東区蔵前三丁目17番4号 蔵前妙見屋ビル4階
地下鉄大江戸線蔵前駅下車3分、寿三丁目交差点1階花屋
会 費 1,000円


曲目と演奏

〜カール・ベーム〜
(1894-1981)
〜ワーグナー〜
(1813-1883)

  1. ワーグナー、楽劇「ニ-ベルングの指環」4部作、抜粋
    1. (1)ラインの黄金より、①前奏曲と第1場、ラインの乙女たち②第4場、指環の呪い,ワルハラ城への神々の入場と虹の橋
    2. (2)ワルキュ-レより、①前奏曲、第1幕第1場、ジ-クムントとジ-クリンデ、第3場愛の場面②第2幕第4場、死の予告、ブリュンヒルデとジ-クムント、第5場、戦いの場面③第3幕前奏曲ワルキュ-レ騎行、第3場ヴォ-タンのブリュンヒルデとの別れ
    3. (3)ジークフリ-トより、第3幕第3場、ブリュンヒルデの目覚めとジークフリ-トとの愛の場面
    4. (4)神々の黄昏より、①前奏曲、プロローグ、ジークフリ-トの出発、ラインの旅②第3幕第2場、ハーゲンの奸計とジークフリ-トの殺害、葬送行進曲③第3場、ブリュンヒルデの自己犠牲、終曲
      キング、リサネック、ニルソン、ヴィントガッセン、アダム、バイロイト祝祭ライブ(1967)
  2. ワーグナー、楽劇「トリスタンとイゾルデ」全曲
    ヴィントガッセン、ニルソン、ルートヴィヒ、タルヴェラ、バイロイト祝祭ライブ(1966)

 ワーグナーの楽劇「ニ-ベルングの指環」は、北欧神話を背景に、神々の長ヴォ-タンとその末裔の神々、英雄、人間たちの繰り広げる愛と物欲、権力欲の争いのドラマから、やがてヴォ-タンが若気の至りで造ってきた末裔たちの争いで、神の秩序不全となり、世界が神々ともども崩壊してしまう予言とも受け取れる。
 楽劇は、男女の激しい愛欲を基に進行していく。主役は、ラインの黄金とワルキューレ前半は、ラインの黄金で作った指環の呪いと、ヴォ-タン、兄妹でありながら夫婦となるジ-クムントとジ-クリンデだが、ワルキュ-レの後半からは、ブリュンヒルデである。ブリュンヒルデは、ヴォ-タンの娘でワルキュ-レとしてヴォ-タンに仕える女神であったが、ジ-クムントとジ-クリンデに同情し、ヴォ-タンにそむいて二人を助けようとしたため、神性を奪われ人間の女として、炎の中に眠らされる。やがて、ジ-クムントとジ-クリンデの間に生まれた子、英雄ジークフリ-トは、巨人ハーフナーを討ち、ブリュンヒルデを炎の眠りから覚めさせ救う。2人は愛し合い、夫婦になる。しかし、ジークフリ-トは、ハーゲンに飲まされた毒薬により、ブリュンヒルデを忘れ、ハーゲンの妹に求婚する。ブリュンヒルデは、夫の背信に絶望し、憎悪と復讐から、英雄ジークフリ-トの背中の急所をハーゲンに教えてしまう。ハーゲンは、ジークフリ-トが巨人ハーフナーから奪って身につけている指環を奪うため、ジークフリ-トを殺害する。ブリュンヒルデは、すべてを知り、事態をヴォ-タンに報告し、愛馬に乗ってジークフリ-トの火葬の炎の中に身を投げる。するとライン河が増水し、神々のワルハラ城も炎上していく。このドラマの後半のテーマは、神から人間の女になったブリュンヒルデの愛と絶望と苦悩である。
 バイロイト音楽祭は、1876年、ワーグナーが自作の楽劇ニーベルングの指環を上演するためにドイツバイエルン州バイロイトの町に建設した劇場で行われるワーグナーの楽劇上演のための音楽祭である。貴族ルートヴィッヒの支援はあったとはいえ、自作のために劇場まで建設してしまうワーグナーの舞台にかける情熱は並々ならぬものであった。その後、音楽祭は上演の不評や資金難、第1次大戦などで途絶えながら1930年代になって復活したが、第2次大戦で再び途絶え、1951年になってようやく再スタートした。これを記念して、フルトヴェングラーがベートーヴェンの第9を演奏した。その後は、クナッパートブッシュなどが演奏したが、今回は、1966年、67年のベームの演奏で、楽劇ニーベルングの指環のワルキューレと神々の黄昏、トリスタンとイゾルデなどを聴く。
 ベームの演奏は、純ドイツ的ながっしりとした構成感に、崩れはしないのだが、世紀末的なワーグナー一流の愛欲と厭世観も横溢している.トリスタンとイゾルデは、愛の媚薬がきっかけとはいえ、王に嫁ぐイゾルデと王の家臣トリスタンとの道ならぬ恋、愛欲と深手を負ったトリスタンのせん妄と二人の愛死の物語だが、堅物と思われるベームが意外にもフルトヴェングラー張りの情念と官能的な世界を描きだしている。
 演出は、ワーグナーの孫ヴィーラント・ワーグナーであり、配役も、ニルソン、ヴィントガッセンといった当時の最高のワーグナー歌手を揃え、戦後のバイロイト全盛期の名演中の名演である。

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