時代を超えてよみがえる巨匠たちのレコード演奏会
(第54回プログラム)


主 催 SP・LPクラシックレコード音楽研究会 代表丹野井松吉
日 時 2019年3月30日(土)
午後1時から午後7時ごろまで
会 場 音pub Westminster house(電話 090-3345-2124)
東京都台東区蔵前三丁目17番4号 蔵前妙見屋ビル4階
地下鉄大江戸線蔵前駅下車3分、寿三丁目交差点1階花屋
会 費 1,000円


曲目と演奏

〜スヴィヤトラフ・リヒテル〜
(1915-1997)

  1. モーツアルト
    1. (1)ピアノ協奏曲第20番ニ短調K466
         ザンテルリンク、ソヴィエト国立(1951, 3)
    2. (2)ピアノソナタ第5番ト長調K283(1968)
    3. (3)ピアノ協奏曲第24番ハ短調K491
         ムーティ、フィレンツェ音楽祭(1971, 11)
    4. (4)ピアノ協奏曲第27番変ロ長調K595
         ブリテン、イギリス室内(1965, 6)
  2. ベートーヴェン
    1. (1)ピアノソナタ第8番ハ短調OP13
         「悲愴」(1959, 6)
    2. (2)ピアノソナタ第12番変イ長調OP26
         「葬送行進曲」(1960, 10)
    3. (3)ピアノソナタ第17番ニ短調OP31-2
         「テンペスト」(1965, 3)
    4. (4)エロイカ変奏曲OP35(1970, 4)
    5. (5)ピアノソナタ第23番へ短調OP57
         「熱情」(1960, 10)
    6. (6)ピアノソナタ第28番イ長調OP101
         (1965, 3)
    7. (7)ピアノソナタ第30番ホ長調OP109
         (1963, 11)
    8. (8)ピアノソナタ第32番ハ短調OP111
         (1963, 11)
    9. (9)バガテルOP33-3, 5, OP119-2, 7, 9,
         OP126-1, 4, 9 (1958, 9)

 リヒテル(1915-1997)は、音楽家でドイツ系ポーランド人の父とロシア人の母の間にウクライナで生まれた。ショッキングなことには、父は、スターリンからドイツのスパイの嫌疑で、1941年に処刑されている。母親は、再婚し、ドイツに亡命し、リヒテルだけがソ連に残されたのであった。
リヒテルの生きた時代のソヴィエト社会主義共和国連邦(1922-1991)は、マルクス・レーニン主義による共産党独裁の国家であり、当時、スターリンによる思想弾圧、大量虐殺は熾烈を極め、芸術も体制維持のプロパガンダに奉仕させられ、海外演奏をする演奏家も外貨獲得のための要員であったようだ。リヒテルの82歳の生涯は、ロシア革命からソ連の崩壊まで、まさに共産党独裁国家の生誕と崩壊の歴史であった。
 リヒテルは、独学でピアノを始め、22歳の時にネイガウスに師事したが、師は彼には助言はしてきたが教えることはないといったという。しかし、リヒテルは、師ネイガウスから、詩人ゴーゴリやエセーニンのロシアの自然のなかの叙情、ロシア的なロマンを受け継いだ。一見、リヒテルのピアノのタッチ音は、硬質で感情はコントロールされ、強弱は巨人的であり、人間的なぬくもりとは程遠い鉄骨のような感じは、生い立ちと当時のソ連の政治体制への防御が大きく影響しているように思える。聴き進むうちに、リヒテルの演奏には、強い意志と集中力に客観性、そのなかに生命力、限りない憧れ、詩情があることがわかる。
 今回は、モーツアルトとベートーヴェンを聞くが、いわゆる西ヨーロッパー的なモーツアルト像やベートーヴェン像にとらわれないまったく新しい画然とした音楽が鳴り響いていることがわかる。ギーゼキングもバックハウスもいない。しかし、これも最高のモーツアルトであり、最高のベートーヴェンである。

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