時代を超えてよみがえる巨匠たちのレコード演奏会
(第53回プログラム)


主 催 SP・LPクラシックレコード音楽研究会 代表丹野井松吉
日 時 2019年3月16日(土)
午後1時から午後7時ごろまで
会 場 音pub Westminster house(電話 090-3345-2124)
東京都台東区蔵前三丁目17番4号 蔵前妙見屋ビル4階
地下鉄大江戸線蔵前駅下車3分、寿三丁目交差点1階花屋
会 費 1,000円


曲目と演奏

〜トスカニーニ〜
(1867-1957)
NBC交響楽団

ワーグナー(1813-1883)

  1. ローエングリン第1幕序曲
  2.        第3幕序曲(1951)
  3. ワルキューレ第1幕第3場(1941)
    メルヒオール、トローベル
  4. ワルキューレ騎行(1952)
  5. ジークフリート牧歌(1952)
  6. ジークフリート第2幕「森のささやき」(1951)
  7. 神々の黄昏
    1. (1)夜明けとジークフリートのラインへの旅(1949)
    2. (2)ジークフリートの死と葬送行進曲(1952)
    3. (3)ブリュンヒルデの自己犠牲とフィナーレ(1941)
  8. マイスタージンガー第1幕前奏曲(1946)
             第3幕への前奏曲(1951)

ヴェルディ(1813-1901)

  1. ラ・トラビヤータ(椿姫)より(1946)
    第1幕序曲
    乾杯の歌
    アルバネーゼ、ピアース、メリル他
    第3幕序曲
  2. レクィエム(1951)  
    ネリー、バルビエリ、ステファノ、シェピ、
    ロバートショウ合唱団

 トスカニーニは、ヴェルディの歌劇の演奏で認められ、虚飾を排し、作曲者の意図を直截正確に伝える演奏で、ヨーロッパで最高の指揮者の地位を確立した。1936年、37年には、ザルツブルグ音楽祭で,ヴェルディのファルスタッフ、モーツアルトの魔笛、ベートーヴェンのフィデリオ、ワーグナーのマイスタージンガーなどを演奏している。
しかし、1930年代、ムッソリーニと対立、ヨーロッパを離れ、アメリカRCAの招きでニューヨークに移住する。RCAは、トスカニーニのためにNBC交響楽団を創設し、定期的に放送演奏を開始した。第二次世界大戦中は連合国側の士気高揚にも一役買っている。
 トスカニーニの演奏も、時代とともに大きく変わってきている。1930年代戦前の演奏は、テンポはかなり遅く、隙とゆとりと若さ麗しさがある。ところが、アメリカに移住した後、戦時中の演奏は、まさにハードボイルドで、乾いた本質だけを追求するような力の音楽になっている。戦後、50年代に入ると、演奏は、またゆったりとした落ち着きとゆとりを取り戻している。トスカニーニは、NBC放送局を通じて毎週全米に放送ライブ演奏を放送したので、彼の残された録音の多くは、放送ライブ録音である。そして、これもほとんどが、ニューヨークマンハッタン島にあるNBC放送局のスタジオ8Hからの演奏で、このホールは毎回入場料無料で聴衆は満員であったと言うが、残響のきわめて少ないホールであった。この音は、確かに、演奏から艶と潤いを消し去るもので、トスカニーニの演奏効果にはマイナスであったようだ。本人も、晩年は、残響のあるカーネギーホールを好んだようである。
 イタリア人であるトスカニーニの演奏は、ギリシャ・パルテノン神殿のように彫塑的であるが、力強く意思的であり、カンタービレはこの上なく美しい。彼のワーグナーは、いわゆるゲルマン的な演奏ではないが、その表出力と高揚感は素晴らしい。これもやはりワーグナーであり、ヨーロッパ文明は一体であると思わせる。トスカニーニは、ヴェルディの生前、数少ない交流であったが、ヴェルディの歌と力の音楽の本質を知り尽くしている。「椿姫」、「レクイエム」いずれも芸術の薫り高い至高の演奏と言えるだろう。

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