時代を超えてよみがえる巨匠たちのレコード演奏会
(第34回プログラム)


主 催 SP・LPクラシックレコード音楽研究会 代表丹野井松吉
日 時 平成30年9月22日(土)
午後1時から午後7時半ごろまで
会 場 音pub Westminster house(電話 090-3345-2124)
東京都台東区蔵前三丁目17番4号 蔵前妙見屋ビル4階
地下鉄大江戸線蔵前駅下車3分、寿三丁目交差点1階花屋
会 費 1,000円


曲目と演奏

〜スヴィヤトラフ・リヒテル〜
(1915-1997)

〜ダビッド・オイストラフ〜
(1908-1974)

  1. シューベルト
    1. (1)ピアノソナタ第19番ハ短調「遺作」
         D958(1971)
    2. (2)ピアノソナタ第21番変ロ長調「遺作」
         D960(1972)
  2. シューマン
    1. (1)交響的練習曲OP13(1971)
    2. (2)幻想曲ハ長調OP17
  3. ブラームス
    1. (1)ヴァイオリンソナタ第2番イ長調
         OP100(1972)
    2. (2)ヴァイオリンソナタ 第3番ニ短調
         OP106(1968)
  4. ベートーヴェン
    1. (1)ピアノソナタ第30番ホ長調OP109(1974)
    2. (2)ピアノソナタ第29番変ロ長調OP106
         「ハンマークラヴィア」(1976)
    3. (3)ディアベリの主題による33の変奏曲(1986)
  5. フランク
    ヴァイオリンソナタ(1968)

 リヒテル(1915-1997)は、音楽家でドイツ系ポーランド人の父とロシア人の母の間にウクライナで生まれた。ショッキングなことには、父は、スターリンからドイツのスパイの嫌疑で、1941年に処刑されている。リヒテルは、独学でピアノを始め、22歳の時にネイガウスに師事したが、師は彼にはもう教えることはないといったという。一見、リヒテルのピアノのタッチ音は、硬質で感情はコントロールされ、強弱は巨人的であり、人間的なぬくもりとは程遠い鉄骨のような感じは、生い立ちと当時のソ連の政治体制が大きく影響しているように思える。しかし、聴き進むうちに、リヒテルの演奏には、強い意志と集中力に客観性、そのなかに生命力、限りない憧れ、詩情があることがわかる。
 一方、ダヴィッド・オイストラフ(1908-1974)は、ユダヤ系ウクライナ人、ヴァイオリンは美音であるが、人間感情の表現のスケールは大きく、クライスラーやハイフェツよりも暗い深みを感じさせるのは、やはり当時の政治体制の違いかもしれない。
 オイストラフやリヒテルの生きた時代のソヴィエト社会主義共和国連邦(1922-1991)は、マルクス・レーニン主義による共産党独裁の国家であり、当時、スターリンによる思想弾圧、大量虐殺は熾烈を極め、芸術も体制維持のプロパガンダに奉仕させられ、海外演奏をする演奏家も外貨獲得のための要員であったようだ。このような時代に生きた彼らが、芸術家としての良心を守ることはおよそ大変なことであったに違いない。ベートーヴェンが理想としたルソーやボルテールの自由な市民社会とは、かけ離れた環境の中にあって、演奏活動を続けた彼らの巨匠としての偉大さに感銘するのである。

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