時代を超えてよみがえる巨匠たちのレコード演奏会
(第104回プログラム)


主 催 SP・LPクラシックレコード音楽研究会 代表丹野井松吉
日 時 令和2年8月1日(土)
午後1時から午後6時ごろまで
会 場 音pub Westminster house(電話 090-3345-2124)
東京都台東区蔵前三丁目17番4号 蔵前妙見屋ビル4階
地下鉄大江戸線蔵前駅下車2分、寿三丁目交差点1階花屋
会 費 1,000円


曲目と演奏

〜トスカニーニ〜
(1867-1957) NBC交響楽団
〜ワーグナー〜
(1813-1883)

  1. タンホイザー序曲とヴェヌスヴェルグの音楽
    (1952)
  2. ローエングリン第1幕序曲 第3幕序曲(1951)
  3. トリスタンとイゾルデ前奏曲と愛と死(1952)
  4. ワルキューレ第1幕第3場(1941)
    メルヒオール、トローベル
  5. ワルキューレ騎行(1952)
  6. ジークフリート第2幕「森のささやき」(1951)
  7. 神々の黄昏
    1. (1) 夜明けとジークフリートのラインへの旅
         (1949)
    2. (2)ジークフリートの死と葬送行進曲(1952)
    3. (3)ブリュンヒルデの自己犠牲とフィナーレ
         (1941)
    トローベル
  8. パルジファル前奏曲と聖金曜日の音楽
  9. マイスタージンガー第1幕前奏曲(1946)
    第3幕への前奏曲(1951)
  10. ジークフリート牧歌(1952)

丹野井松吉のコメント

 トスカニーニは、ヴェルディの歌劇の演奏で認められ、虚飾を排し、作曲者の意図を直截正確に伝える演奏で、ヨーロッパで最高の指揮者の地位を確立した。1936年、37年には、ザルツブルグ音楽祭で,ヴェルディのファルスタッフ、モーツアルトの魔笛、ベートーヴェンのフィデリオ、ワーグナーのマイスタージンガーなどを演奏している。
 しかし、1930年代、ムッソリーニと対立、ヨーロッパを離れ、アメリカRCAの招きでニューヨークに移住する。RCAは、トスカニーニのためにNBC交響楽団を創設し、定期的に放送演奏を開始した。第二次世界大戦中は連合国側の士気高揚にも一役買っている。
 トスカニーニの演奏も、時代とともに大きく変わってきている。1930年代戦前の演奏は、テンポはかなり遅く、隙とゆとり、若さ麗しさがある。ところが、アメリカに移住した後、戦時中の演奏は、まさにハードボイルドで、乾いた本質だけを追求するような力の音楽になっている。戦後、50年代に入ると、演奏は、またゆったりとした落ち着きとゆとりを取り戻している。トスカニーニは、NBC放送局を通じて毎週全米にラジオ放送によりライブ演奏をしたので、彼の残された録音の多くは、放送ライブ録音である。そして、これもほとんどが、ニューヨークマンハッタン島にあるNBC放送局のスタジオ8Hからの演奏で、このホールは毎回入場料無料で聴衆は満員であったと言うが、残響のきわめて少ないホールであった。この音は、確かに、演奏から艶と潤いを消し去るもので、トスカニーニの演奏効果にはマイナスであったようだ。本人も、晩年は、残響のあるカーネギーホールを好んだようである。
 イタリア人であるトスカニーニの演奏は、ギリシャ・パルテノン神殿のように彫塑的であるが、力強く意思的であり、カンタービレはこの上なく美しい。彼のワーグナーは、いわゆるゲルマン的な演奏ではないが、その表出力と高揚感は素晴らしい。これもやはりワーグナーであり、ヨーロッパ文明は一体であると思わせる。トスカニーニは、ヴェルディの生前、数少ない交流であったが、ヴェルディの歌と力の音楽の本質を知り尽くしている。そして、ワーグナーの晩年の16年間も、トスカニーニの少年、青年時代の16年間と重なり合っていることに特に注目すべきであろう。

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